技術広報一年生のブログ

技術・クリエイティブ広報を始めたばかりの元デザイナーのブログです。自分の感性の赴くまま、気負わず色々と書いて行きたいと思います。

スタートアップにCDOが必要な理由 を聞いてきた

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「デザイン役員(CDO)」の重要性がますます高まってきている。PinterestAirBnB、Vimeoなど、尖ったスタイルのある海外スタートアップでは、創業者にデザイナーが含まれ、重要な意思決定の場にデザイン視点が取り込まれていることは知られている通り。
 
なぜか。プロダクト開発の方向性決めから、企業のブランディング確立のためには、その判断にいちいちABテストの結果を要していたら、スピードは出ない。
 
まして「情緒的なもの」に価値が置かれる時代にあっては、数字に繋がるまでにより時間がかかるため、直感で良し悪しを推し量れるのがデザイナーの能力が活きてくる。
 
そしてそれが予算と人事権を移譲され「経営」の一部となった時に初めて、会社の文化やあり方に大きな影響を与える力になる。また、デザインは「コスト」ではなく、重要なものであるという事を社内に認知してもらうためにも、権限は必要だ。
 
だから、将来のリターンを見込みつつ、正しいプロダクトを素早く作れる組織にするためには、社長、CTO、CDO(またはCCO、CXO)と3つの役割に分けた方がいい。社長にとっても、対話によって感性を引き出し増幅してくれる存在が近くにいることは、メリットでしかない。

デザイナーが経営者となった場合の強みは何か。それは未来だったり形、数字になっていないものにアウトラインを与えられる事である。分析面では弱いが、経営判断に「美しさ」や「感覚的な判断」を添えることができる。
 
人々の体験はどうあるべきか、という視点で企業とユーザとのタッチポイント全てをデザインし、責任を持つこと(=すなわちそれは経営)で、ブランドが確立し、信頼感が構築され、ビジネスがブーストしてゆく。
  
とはいえ、組織が大きくなりすぎると、後でデザイン役員という役割を設立するには文化的に越えるべきハードルが高いので、組織が小さいスタートアップのうちにその職種を作った方がいい。

時代に追いついていない著作権事情 ー 法がヒトの領域を超える日

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 ミュです。

今日は、ものづくりにとって知っておくべき知識の一つ・著作権について、ゆるーく考えてみたいと思います。

 「著作権ってなんだ?」と初めて深く考えさせられたのは、”自撮り猿”のニュースがきっかけ。同じく!という方もいらっしゃるのではないでしょうか。”自撮り猿”、覚えていますでしょうか。あるイギリスの写真家が設置しておいたカメラを野生の猿が操作して自撮りした写真の著作権が、カメラマンのものか、猿のものか、それとも著作権対象外(社会の共有財産)かで、もめにもめたニュースです。

 写真家が自らの著作権を主張してその写真を無料配信した媒体側へ削除を求める一方で、媒体側は「動物による撮影は公共のものでしょ」と。そこに動物愛護団体が、「いやいや、猿が撮ったんだから猿の著作権でしょ」と。そして、裁判にもつれ込む事になりました。

 社会の共有財産というのはあり得ますが、そもそも法の存在すら知らない(?)動物が著作権を持つという発想は、どうにも突飛だなあという印象でしたが、”動物の倫理的扱いを求める動物愛護団体曰く、

著作権法は、作品を作った者に対して著作権を付与するものです。そこに生物の種類の制限はありません」 

著作権法はカメラを所有する人間ではなく、写真を撮った存在に権利を与えています」

引用:「サルに著作権ない」 自撮り写真めぐる裁判、動物愛護団体が敗訴

 と、法が ”制作者が人間であること” を条件にしてはいないことを指摘しています。

 この議論、月日を経て、つい数日前の9月11日(米国時間)に和解成立となった模様。結果的に著作権は写真家が保有するものの、その猿の自撮り写真から得られた収益の4分の1をその猿(絶滅危惧種)の保護のために寄付することで合意。双方の目的は概ね満たされる結果になったもよう。

今回の訴訟では、人間以外の動物の法的権利拡大について、重要かつ最先端の諸問題が提起された

引用:サルの自撮り写真の著作権をめぐる訴訟、ついに決着 - CNET Japan

今回の件では、双方の利害が一定レベルでは一致し、騒動はひとまず収束したようですが、結局、人間以外にも著作権が適用されるのか、と言う議論の結論には至っていません。著作権が発生するための条件に”意思を持って”作ったものか、というところがポイントになるそうですが、絵を描く象さんとか豚さんとかはどうなんでしょう?(筆を渡したのは人間かもしれないですが)また、勝手に物作りを始めてしまうAIはどうなんでしょう?

法が作られた時代になかった概念や事例が、法改正のスピードよりも早く出てきてしまって、都度対応せざるを得ないのが現状のようです。特にAIに関しては、もはや映画の中の世界ではなく、人々の生活に入り込んできている事を考えると、今後著作権がどんな定義の変化を遂げるのか、とても興味深いですね。

【レポート】マッチングサービスを支えるElasticsearch

サイバーエージェントのメディアサービスを支えるエンジニアによる、オープンな勉強会「CA.io」が、昨日(2017年9月11日)始まりました。
 
初回となる今回のテーマはマッチングサービスを支えるElasticsearch と題し、CAグループに所属する4つのマッチングサービス「タップル誕生」「CROSS ME」「mimi」「トルテ」の横連携組織「カップリングユニオン」が主催。それぞれ特性の異なるサービスにおいて、どのようにElasticsearchを導入し、どのように役立てているかを、参加者の方々に共有しました。
 
最初の登壇者は、スペシャルゲストのElastic社エヴァンジェリスト大谷氏。今回の主題であるElasticsearchのバージョン6.0 の特徴に関するセッションを展開しました。(ここで明らかにされた仕様変更箇所が、後続の登壇者の発表内容に打撃を与えるなどちょっとしたハプニングもありました 笑)
 
二番手は「タップル誕生」のスペイン出身エンジニア・アントニオ氏MongoDBからElasticsearchに移行したところ、検索機能のパフォーマンスが大幅向上し、より複雑な検索が可能になったとのことです。
 
三番手は、すれ違いを恋のきっかけにするサービス「CROSS ME」の川田氏。”すれ違い”の定義方法や、住所を緯度経度から割り出すのに”逆”Geocordingを利用した話、現在位置を象徴するランドマーク画像を、厳密な住所に紐づくものではなく、文化圏的に人々が認識しやすいエリアに紐づけるなどの細やかな工夫を披露しました。

四番手は、mimiLabの「mimi」の矢崎氏が登壇。このサービスは「好みの顔」を探すというサービスの特性上、完全一致(例:パッチリ二重)とスコアマッチ(例:身長173-200cm)が複雑に絡み合う、ワガママな条件検索が売りですが、その開発には試行錯誤を繰り返しながらの困難があったとか。
 
最後は、つい最近ローンチしたばかりの「トルテ」。徹底的に女性目線で設計された、女性に優しいマッチングサービスです。登壇者の中川氏は、ユニオンの中では最後発という立ち位置を利用して、技術にもサービス設計にも、上手く先人たちの知見を活かしていったというストーリーを、「マッチ済みユーザーを表示しない方法」を例にとりつつ展開しました。

日頃から技術・ノウハウ面での
互助の関係が築かれているというCAグループのカップリングユニオン。”同業者” 同士で競うだけでなく、身につけた技術や知識を共有財産として蓄積して引き上げ合うことで、チームとしての市場競争力を付けているようです。